オープニング

雷鳴轟く病院の建物をバックにしたタイトル画面からスタート。ウィンドウとかのデザインが、いかにもＰＣゲームって感じですかね。

物語の発端は、身なりからすれば医者の、見るからに好色そーなオヤジと何者かの密会（てゆーかセリフからすれば逢引き）シーンから。極めて重要な場面ではあるけど…「重そうな身体」とか「毛深く丸太のような手」とか「脂ぎった顔」とか「芋虫のような指」とかいうやたらと濃い修飾語で表現されてる、腹に力入れるとシャツのボタンがぷちぷち千切れそーなスケベオヤジなど、眺めてても一向に楽しくないのでちゃっちゃと先へ…と思ったが、この院長センセの野々村作治氏はゲーム中では既に死亡しているので登場しません。最初と最後だけ。

…よく考えると、彼なくしては始まりも終わりもない、という実は最も重要な人物。さすがにタイトルに個人名（つーか施設名だけど）が使われているだけはある…のかもしれない。

　

事務所　　電話が鳴る

主人公は自称天才私立探偵の海原 琢磨呂（かいばらたくまろ）。どこの元華族のお坊ちゃんだ、みたいな名前だけど、事務所と思しき部屋は一見倉庫に見えないこともないよーな閑古鳥が常駐してそーなとこ。デスクと椅子だけは御自慢の品らしいけど。

自称天才の名にふさわしい傲岸不遜さを余すところなく発揮した、相手との意志の疎通が全くなさげな会話が結構笑えて、好きだったりします。まぁ、品があるとは言えない単語も多いけど、そこは作品の方向性があるから当たり前だし。強引な捜査（多分ノゾキやセクハラ紛いのものだと思われます）などで醜聞に事欠かない、写真週刊誌の常連という悪名の高さで有名なよーですが、過去には難解な事件をいくつも解決した経歴があるらしいので、本来は優秀なんでしょう。理知的ではあるようなので、バカだけど天才ってトコですかねぇ。いわゆる偽悪的なタイプとも言える気がしますが。


午後のひとときを優雅に紅茶を味わいつつ（缶紅茶だけど）過ごしていると電話が。

・私のような天才でも電話をとる事は必要だ
・私のような天才には電話の方から来るべきだ
・幸せな一時を邪魔する電話など無視するべきだ

などという妙に個性的な三択が出たりしますが…ここでは「電話をとる」場合のみ、違った展開になる事が。

　

電話をとる

私のような天才でも電話をとる事は必要だ

電話の相手は事務所が入居しているビルのオーナー。ここでは姿を見せないけど、黒メガネかけて常時コメカミにアオスジをたててる御子柴（みこしば）というオジさん。要するに大家さんですが…内容は半年も滞納している家賃の催促。今から取り立てにいらっしゃるよーです。最近さっぱり仕事の依頼がない（天才には違いないが、ある意味有名人だから）ので、当然払うカネもナシ（そのわりに「自慢のスーツ」とか「サンローランのパジャマ」とか「レイバンのサングラス」だのを持ってるのは何故だろーか…）。しかし主人公の辞書には「逃げる」という言葉が残念ながらないです。

　

出かける

「逃げる」という言葉はないけど、幸いな事に「出かける」はあるようなので外出。言うまでもないけど決して逃げるわけではないのです。愛車（バイク）をスタートさせると、通りすがりの女性とぶつかって口論に。琢磨呂は「おまえの顔は典型的な当たり屋の顔だ」とかなんとか言って女性を当たり屋呼ばわり。「典型的な当たり屋の顔」ってどーゆー顔なんですかねぇ…。

　

涼子が来訪 / 涼子とぶつかる

後で事件捜査のライバルとなる西条探偵事務所に所属する探偵・伊藤涼子というのが彼女の身分で、要するに同業者ですが…イロイロと問題のある主人公に、同業者としていい感情を持ってないようです。最初は居丈高で可愛げなく思えるけど、自分の職業に誇りを持っていて生真面目。最後の方になるとやっぱりカワイらしくなるし、好きなキャラ。

よく見るとファッションセンスがなかなか…ひらひらの襟元にリボンはまあいいとして…且てて加えて、お花のワンポイントがくっついてるチョーカーはねぇだろっ、とか見る度に思ってしまうが。事務所に訪ねてきた際には「春を先取りしたような淡い桃色のスーツ」と表現されてるけど…どう見ても赤なので、何でだ？と思ってたけど、看護婦さんの制服がピンクなのでカブらない為でしょうかね、多分。探偵稼業だってビジネスなんだから合理的にやるものだ、と一匹狼の琢磨呂を時代遅れだと発言する彼女。

そんな事いわれてもねぇ。お約束だから。十中八九は勘と推理がモノをいう世界だし「コンピュータと人材を駆使した合理的な捜査」で名探偵の名を冠するヤツなんていないし。琢磨呂に言わせれば、探偵に必要なのは優れた頭脳と動物的な勘と端正な顔立ち、だそーだが。

　

とりあえず謝る

殊勝にも「謝る」の選択肢があったりしますが、耳がふさがってでもいない限り、誰がどう聞いても謝ってるようには聞こえないです。どのみち主人公に「瞬間湯沸かし器より短気な女」と理不尽にも評されてたりする涼子サンとじゃ、口論にしかならないが。そー言えばここでは関係ないけど、「女の子に親切にしなかった」とかいう理由で殺されるハメになる事があるのに、到底親切に出来かねる選択の余地しかないよーな気が…。

　

骨折して入院

外出した場合は事故で右足を骨折。愛車もボロボロになるし。いや、待て、それよりも…バイクに接触されて、ぶつかってきたバイクを破損させた挙句、運転手を骨折させておきながら、本人はほとんど無傷と思われる涼子が主人公をやった方がいいんじゃないか？とか思ってしまうが。だって殺しても死にそうにないほど頑丈にできてるみたいだし…タダの女探偵だと思ったら、なかなかどうして侮れないです。

事務所で会った場合は、彼女に蹴られて「自慢のスーツにチープなヒールの跡」をつけられた上に足を骨折。救急車で病院へ。シナリオの一定の区切りごとにセーブするシステムになってるので、ここでセーブ。


「セーブしますか？」

・何が何でもセーブしてやる
・何が何でもロードしてやる
・何もしない

「ふん、何番にセーブするのだ？」


「ゲームを終了しますか？」

・このまま続ける
・ゲームを終了する

「本当にいいですか？」

・やっぱりゲームを続ける
・一度決めた事は曲げない


　
エンディング�ｂP

涼子を何もしないで帰すと、大家の御子柴サンがやってきてビルを追い出されてしまいます。「探偵稼業も潮時だろう…」とか言いつつも、心が寒い琢磨呂くん。骨折する事もなく、入院して事件に首を突っ込む事もなく、生命の危険に晒される事もない…という、至って平和的な終幕（…でもないか？）。

バッドエンド時には登場キャラがヒントをくれます。ここでは大家さんの御子柴さんのヒントコーナー。